公務員は制度が充実しているから、仕事と育児の両立もしやすいのではないかと思われています。
しかし実際の公務員ママ達は、みんな必死に踏ん張って仕事と子育てをしており、決して安泰ではありませんでした。
働く公務員ママ達がどうやって子育てと仕事を両立させていたのか。
私が在職中に聞いたママ達の生の声をお伝えします。
他のママの話から、自分はどんな働き方をしたいのか見つめなおすきっかけになると嬉しいです。
実家に援助してもらいながら子育てと仕事の両立をするママ
地方公務員では、働いている女性の大半は地元出身です。
そのため実家が近くにあり、子育てを手伝ってもらっている人がほとんどでした。
子どもを実家でみてもらえるように、実家の学区内に住んだり、敷地内同居をしているケースも多いです。
実家に協力してもらうメリットは大きい
具体的にどんなことを手伝ってもらっているのか聞いてみたところ、各家庭により関わり方は様々でした。
- 学童には行かせず、放課後や長期休暇は実家に行くようにしている。夕食などの食事も食べさせてもらっている。
- 学童に通っているが、そこから習い事のお迎えは実家にお願いしている。
- 仕事に行っている間に自宅の掃除・洗濯などの家事をしてもらっている。
実家の協力がどれだけあるかは自身の働き方に関わってきます。
子育てに手がかかる期間は30~40代といった、責任ある仕事を多く割り振られる世代にあたります。
職歴相応の仕事の質と量が求められるなか、子どもや家のことまでママが一人で抱えていては、仕事も家庭もうまくまわりません。
実家が協力的であれば、ママも安心して働きやすいことがうかがえました。
実家に協力してもらうデメリット
実家の協力はとてもありがたいものですが、一方で次のようなデメリットの話も聞けました。
- 実家だと安心して任せきりになり、残業を多くしてしまった結果、子どもにさみしい思いをさせてしまった。
- 子どもが成長してから思い返すと、かわいい時期の子どもと向き合う時間が持てなくて後悔している。
- 親が高齢なので、子どもの相手をする体力がなく、放置気味だった。
- あまり頼ると親に文句を言われてしまい、それが苦痛。
子どもとの時間を取りたいのに、意図せず忙しい部署へ配属されることもあります。
仕事を優先し実家を頼りすぎると、子どもたちにも実家の親にも悪い影響が出てきます。
仕事と実家、子どもとママ自身の気持ち、それぞれうまく折り合いをつけられるよう日々模索していることがうかがえました。
フルタイムでキャリアアップしていくママもいる
幼い子供がいながらも部分休などは取得せず、仕事に全力投球するフルタイムママもいます。
どちらかというと少数でしたが、目立って活躍していました。
フルタイムで働くメリット
- 仕事をしている方が子育てするよりストレスを感じない
- 今まで積み上げてきたキャリアを失わずにいられる
- 収入があるため、足りない時間をお金を使うことで埋め合わせることができる
小さい子どもを持つママさんですが、フルタイムでバリバリ頑張っている方もいます。
能力のある人は最短で出世コースを進んでいき、男性と肩を並べて県政の第一線で活躍しています。
男女区別なく評価してもらえることは、女性が公務員として働くメリットでもあります。
子育てを理由に第一線から退かない姿勢は「すごい」としか言いようがないです。
キャリアママも子ども達に深い愛情も持っていますが、同じくらい仕事に誇りを持っているのだと思います。
フルタイムで働くデメリット
- 連日深夜まで残業をしていたら、ある日の23時頃子どもが泣きながら「早く帰ってきて」と電話をしてきて、実家の親にも怒られた。
- 仕事が忙しく帰れないので、子どもの習い事はタクシーで行ってもらい、帰宅後の夕飯はコンビニ食が多い。
キャリアアップを目指すママは、重要な部署で男性職員と変わらない仕事を任されます。
もちろん定時で帰れることなんてほとんどなくなります。
実家やご主人、公共のサポートなど万全な体制をとっていても、やはり子どもたちはママを必要とすることがあります。
平日は仕事中心になってしまうため、週末に家族との時間を大切にしているようでした。
公務員の子育て制度は恵まれてる?ママ達の感想
私のいた職場の主な子育て制度は以下のとおりです。公務員の方はどこも同じような制度があるのではないでしょうか。
・育休は最長で3歳の誕生日まで
・仕事復帰後は、育児短時間勤務(年長まで)または部分休暇(小学校3年まで)が取れる
短時間勤務:週19時間25分~週24時間35分 5パターンの勤務時間から選択
基本給が減額される
退職金は1/3の期間除外
部分休業:1日2時間まで休暇取得可能
基本給はそのまま、部分休業を取得した時間分減額される
退職金は全期間勤務したとみなす
・看護休暇は未就学の子1人5日、小中高の子1人3日など(子どもの組み合わせで変わる)
公務員はこのような子育て制度がしっかりしています。
では、実際にこれらの制度を活用しているママたちはどう思っていたのでしょうか。
子育て制度を使うメリット
- 育休を3年取得しても、周りに文句を言われることがなかった。
- 育児短時間勤務で、学童のない小学生の上の子の帰宅に間に合わせることができた。
- 育児短時間勤務で、遠距離通勤でも保育園の定時のお迎えに間に合った。
- 部分休は、仕事が立て込む時期は取り消すことでフルタイムと同じ働き方ができるため、臨機応変に勤務できた。
- 小学校3年生まで部分休が使えるのはありがたい。
仕事が比較的安定している職場では、子育て制度のメリットを享受することができます。
忙しすぎず子育てに理解のある人達が多い職場に配属されると、仕事と子育ての両立がうまくいくのですが、庁内にこういった職場はそう多くありません。
どこの職場が仕事をしやすいか、よくママ同士で情報交換していました。
子育て制度を使うデメリット
- まだ新人のうちに育児短時間勤務を取得しようとしたら、上司や周囲の女性の反感を買った。
- 部分休暇を取っているが、結局仕事が終わらず1日単位で部分休暇を取り消し残業している。
- 部分休暇の取得で1日2時間勤務時間が短いのに、フルタイムと同じ業務量が与えられる。
- 部分休暇を取得しているのが、子どものお迎えで残業できないため休日出勤をしている。
- 部分休暇の制度が3年生までなので、それ以降フルタイムになった時が不安。
- 看護休暇が足りずに有給も使い果たしそう。
- 子どもの病気や学級閉鎖に子育て制度をフルに使って対応したが、休みが多いことを先輩ママに悪く言われた。
短時間勤務を選択する人は少数で、大多数が部分休暇を取得していました。
部分休暇を取得しても、フルタイムと同じボリュームの仕事が与えられることも多く、決めた時間通りに帰れず、残業や休日出勤をするママも少なくありませんでした。
定時を意識せずダラダラ残業する人たちもいる中で、子育て中のママ達は集中して効率的に働くため、とても生産性が高いと思います。
それゆえに、仕事が多く回ってくるという悪循環に陥ることもあります。
また、子育て制度を利用して休暇が多いことを良く思わない人がいるのも現実です。
一般的に公務員は制度が整っているので女性も働きやすいという認識があります。
確かに子育て制度はありがたいですが、メリットだけを享受できるわけではないのです。
まとめ
公務員は制度が整っているので子育てしやすいイメージがありますが、実際は仕事の責任と家庭の狭間で葛藤しているママが多いです。
周囲の理解が得られなかったり、仕事量が多かったり、子どものことを優先したいのになかなかできず、思い悩むママが大半です。
異動したとたん、仕事と家庭と子育てがうまくいかずに、心を壊してしまった友人もいます。
それでも、私のように育児を理由に仕事を退職するママはほとんどいません。
辞めないで続けていればそれなりの収入は保障されるため、子どもにお金をかけてあげられます。
子どもとの時間も、お金も、社会的地位も全て満足させるのは難しい。
自分の人生で何を大事にしたいのか、そのためにはどういった働き方をすべきか、公務員という枠にとらわれずによく考えることが大事だと思います。
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